大判例

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東京高等裁判所 昭和61年(う)343号 判決

被告人 長井博實

〔抄 録〕

論旨は、要するに、被告人は株式会社関東相互研究社と顧客との間の相互の経済的利益を目的とする「株及び一般投資等の売買取引の共同購入依頼契約」に基づき顧客から金員を受領したにすぎず、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下、出資等取締法という。)二条一項所定の預り金をしたものではないのに、原判決がこれを積極に認定したのは事実を誤認したものであるというのである。

そこで、検討すると、原判決の挙示する証拠によれば、被告人は、新潟県で本件と同様の業務を行っていた「株式会社北陸経済相互企画」の営業方法をまね、原判示の群馬県高崎市内に設立登記のない「株式会社関東相互研究社」という名称を用いて事務所を設け、「情報・投資・利殖」と題し「情報・投資・利殖の事は我社にお任せ下さい。」、「四ケ月間プールして頂き四ケ月間で七%の分配をお約束致します。」との記載のほか、四か月ごとの元利金一覧表などの記載のあるパンフレット、同社への投資が定期預金、中期国債ファンド及び国債よりも利率が高く有利であることを示す「金利受取額比較表」、「早見表」及び「代表利殖の利率表」等を作成し、雇用した前記松永ら勧誘員に対して「この頂り金は元本が保証されているうえ、一口一〇万円を四か月預けると七パーセントの利息をつけるので定期預金等より有利である。中途解約もでき、その場合には利息はつかないが元金は戻る」旨説明指導し、勧誘員がこれを受け、客に対して前記パンフレットを示すなどし、右と同旨の説明をして金銭の預け入れを勘誘し、原判示高山正之ら不特定かつ多数の者から原判示各現金を受け入れ、これに対し被告人が同会社名義の「預り金証書」を発行し、右高山らも、右説明を聴き利息が高く有利であり、元本も確実に返還されるものと考えて現金を交付したことが認められる。所論は、右四か月七パーセントの金員は利益分配金であって利息ではないと主張するが、利益分配金という名目であったとしても、右金員が元本額に対し一定の期間につき一定の率で支払われる約定であったことに徴すれば、それは利息の性質を有するものというべきである。所論はまた、被告人らは元本額を弁済期に返還することを約旨としていないというが、前記証拠によれば、客に対しその旨を告知し約束したことは明白であって、被告人自身当審公判廷でもそのことを認めているのである。以上によれば、被告人は、不特定かつ多数の者から、元本に利息を付して満期に返還することを約旨として金銭を受け入れたものであり、右受入れは銀行の定期預金などと同様の経済的性質を有すると認められるから、これが出資等取締法二条一項所定の「預り金」に該当することは明らかである。

(小野 花尻 安藤)

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